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最高裁判所第一小法廷 昭和56年(し)86号 決定

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張であって、刑訴法四三三条の抗告理由にあたらない。

なお、記録によると、本件抗告期間の最終日は、昭和五六年六月一六日であるところ、申立人は、本件抗告の申立書を同月一三日在監中の新潟刑務所に差し出したが、同所はこれを当裁判所に直送したため、当裁判所から回送を受けた原裁判所は、期間後である同月一九日、本件抗告の申立書を受け付けたことが認められる。しかしながら、刑訴法九六条三項による保釈保証金没取請求事件は、刑事被告事件の確定後の手続ではあるが刑事上の処分の手続の性質を有するものであるから、右保釈保証金没取請求事件の特別抗告の申立についても、同法三六六条一項の準用があるものと解するのが相当であり、従って、本件申立は適法である。

よって、同法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 中村治朗 裁判官 団藤重光 裁判官 藤崎萬里 裁判官 本山 亨 裁判官 谷口正孝)

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